20代の転職で年収は上がるのか、求人データで見る
20代の転職で年収が上がるかどうかは、応募先の求人が示す想定年収レンジと、いまの給与のどこが比較対象になるかでほぼ決まります。当社取扱いの募集中求人12,378件(集計時点は2026/09/01)と、有価証券報告書で平均年間給与を開示している上場企業1,772社の集計から、実勢の水準を並べました。上がりやすい条件と下がりやすい条件、そして額面だけでは比べられない部分を整理します。
「上がるか下がるか」は求人のレンジで決まる
転職で年収が上がるかどうかを占うとき、多くの人は「自分の経験で通用するか」を先に考えます。ただ実務的には、応募先の求人票に書かれた想定年収のレンジが、提示額の上限と下限をあらかじめ枠づけています。レンジの下限がいまの年収を下回る求人ばかりを見ていれば、選考がうまくいっても提示額は横ばいか下がる可能性が残ります。逆に、レンジの下限がいまの水準を上回る求人群のなかで選考が進めば、条件面の交渉をしなくても結果として上がる、ということが起こります。
当社取扱いの募集中求人を集計すると、件数は12,378件、想定年収下限の中央値は400万円、上限の中央値は600万円でした(集計時点は2026/09/01)。ここで注目したいのは、下限と上限の間に幅があることです。求人票のレンジは「この範囲のどこかで決まる」という意味であり、多くの場合、経験が浅い応募者は下限寄り、即戦力として評価された応募者は上限寄りに置かれます。20代・第二新卒の転職では、まず下限がどこにあるかを自分の現在の年収と突き合わせるのが、いちばん現実的な見方になります。
求人票のレンジは「約束された額」ではなく「決まりうる範囲」です。上限の数字だけを見て期待値を上げると、内定時の提示額との差に戸惑いやすくなります。
当社取扱求人の想定年収レンジ
では、下限はどのあたりに分布しているのでしょうか。次の表は、当社取扱いの募集中求人のうち想定年収下限の記載があるものを、下限の金額帯ごとに分けた件数と割合です。自分の現在の年収がどの帯にあたるかを探しながら見てください。
| 想定年収の下限 | 求人件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 300万円未満 | 783件 | 6.3% |
| 300〜349万円 | 2,203件 | 17.8% |
| 350〜399万円 | 2,455件 | 19.8% |
| 400〜449万円 | 2,442件 | 19.7% |
| 450〜499万円 | 1,296件 | 10.5% |
| 500〜599万円 | 1,628件 | 13.2% |
| 600万円以上 | 1,571件 | 12.7% |
当社取扱いの募集中求人のうち想定年収下限の記載がある12,378件が母数。想定年収は経験・スキルに応じた幅の下端であり、必ずその額が提示されるという意味ではありません。
表を読むときのコツは、自分の現在の年収が入る帯より上に、どれだけの求人が積み上がっているかを数えることです。集計では、想定年収の下限が400万円以上の求人が6,937件で、全体の56.0%を占めていました。下限が500万円以上になると3,199件、割合は25.8%まで下がります。つまり、いまの年収が下限400万円のラインより低い位置にあるなら、選択肢は過半に広がる一方、500万円を超える提示を狙う場合は、母集団そのものが絞られることになります。「上がるか」を漠然と心配するより、この分布のどこを狙うのかを決めるほうが、行動に移しやすくなります。
職種によってもレンジの形は変わります。次の表は、全体・営業職・施工管理の3つを並べ、件数と想定年収の下限・上限の中央値、職種未経験OKの割合、年間休日120日以上の割合を比べたものです。年収の水準と、働き方の条件が同じ方向に動くとは限らない点に注意しながら見てください。
| 職種 | 求人件数 | 想定年収下限の中央値 | 想定年収上限の中央値 | 未経験OKの割合 | 年間休日120日以上の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全体(全職種) | 12,378件 | 400万円 | 600万円 | 42.8% | 75.3% |
| 営業職 | 2,640件 | 400万円 | 600万円 | 55.3% | 75.3% |
| 施工管理 | 1,360件 | 400万円 | 700万円 | 39.0% | 64.2% |
当社取扱いの募集中求人の集計。営業職・施工管理は職種分類を列挙して固定した範囲で、年間休日の割合は記載のある求人が母数です。
職種グループで見ると、営業職は想定年収下限の中央値が400万円、上限の中央値が600万円でした。施工管理は下限の中央値が400万円、上限の中央値が700万円です。下限は近い水準でも、上限側に差が出る職種があることがわかります。これは「どちらが得か」という話ではなく、レンジの広さが、成果や資格、経験年数によって処遇が動く余地の大きさを表していると読むのが妥当です。上限が高い職種は、その分だけ上限に到達するための条件が求人票の外側にある可能性も含めて確認しておくと、入社後の見通しが立てやすくなります。
勤務地によっても分布は動きます。次の表は、件数の多い都道府県について、件数・全体に占める割合・想定年収下限の中央値・未経験OKの割合を並べたものです。転居を伴う選択肢を検討している人は、件数と水準の両方を見比べてみてください。
| 都道府県 | 求人件数 | 全体に占める割合 | 想定年収下限の中央値 | 未経験OKの割合 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 5,900件 | 47.7% | 420万円 | 36.8% |
| 大阪府 | 860件 | 6.9% | 400万円 | 44.3% |
| 愛知県 | 815件 | 6.6% | 400万円 | 46.9% |
| 神奈川県 | 569件 | 4.6% | 400万円 | 38.8% |
| 北海道 | 430件 | 3.5% | 377万円 | 51.4% |
| 埼玉県 | 297件 | 2.4% | 400万円 | 48.1% |
| 福岡県 | 284件 | 2.3% | 350万円 | 44.7% |
| 静岡県 | 261件 | 2.1% | 360万円 | 47.1% |
当社取扱いの募集中求人12,378件のうち、件数の多い上位8地域。割合は全求人に占める割合、中央値は各地域の想定年収下限の記載がある求人で計算しています。
集計では、東京の募集中求人が5,900件で、想定年収下限の中央値は420万円でした。大阪は860件で下限の中央値が400万円、愛知は815件で400万円です。地域によって下限の中央値に差が出ますが、これは生活費の水準や、その地域に集まりやすい業種構成の違いも反映しています。額面が高い地域が常に手元に残る額でも有利とは限らないため、家賃を含めた生活コストと合わせて考える必要があります。
未経験OK求人と、職種を変える転職
20代・第二新卒の転職では、いまと違う職種に移る選択が現実的な候補に入ります。当社取扱いの募集中求人のうち、職種未経験OKの求人は5,300件あり、全体に占める割合は42.8%でした。選択肢としては十分に広いといえます。
ただし、水準は全体と同じではありません。職種未経験OK求人の想定年収下限の中央値は350万円、上限の中央値は502万円でした。全体の下限中央値400万円・上限中央値600万円と並べると、未経験からの入口は下限・上限ともに低い位置から始まる傾向が読み取れます。これは、入社直後の期間は教育や立ち上がりの時間が見込まれるためで、珍しいことではありません。
大事なのは、この差をどう解釈するかです。職種を変える転職は、入口の提示額だけを見ると横ばい、あるいは下がることがあります。一方で、移った先の職種のレンジ上限が現職より高ければ、経験を積んだあとの到達点は変わってきます。短期の増減と、数年先の到達点を分けて考えると判断がぶれにくくなります。逆に、入口で下がることを織り込めない事情がある場合は、未経験OKのなかでも下限が高い求人に絞る、あるいは現職の経験が部分的に活きる隣接職種を狙う、といった調整が現実的です。
上場企業の平均年間給与の読み方
「あの会社は平均年収が高いらしい」という情報は、有価証券報告書の開示に由来することが多くあります。次の表は、平均年間給与を開示している上場企業を金額帯ごとに分けた社数と割合です。世の中の企業全体ではなく、開示義務のある上場企業に限った分布であることを前提に見てください。
| 平均年間給与 | 社数 | 割合 |
|---|---|---|
| 400万円未満 | 15社 | 0.8% |
| 400〜499万円 | 131社 | 7.4% |
| 500〜599万円 | 351社 | 19.8% |
| 600〜699万円 | 448社 | 25.3% |
| 700〜799万円 | 380社 | 21.4% |
| 800〜999万円 | 332社 | 18.7% |
| 1,000万円以上 | 115社 | 6.5% |
有価証券報告書で平均年間給与を開示している上場企業1,772社(各社の最新期)が母数。全社員の平均であり、勤続年数の長い社員を含むため、20代・中途入社時の提示額とは水準が異なります。
集計対象は1,772社で、平均年間給与の中央値は690万円でした。平均年間給与が600万円以上の企業は72.0%を占めています。ばらつきを見ると、下位側の四分位が587万円、上位側の四分位が803万円で、多くの企業がこの間に収まっています。
ここで欠かせない注意があります。有価証券報告書の平均年間給与は、その会社の全社員の平均です。勤続年数の長い社員や管理職も含まれるため、20代が中途で入社するときに提示される額とは水準が異なります。開示値が高い企業に入れば、すぐにその額が支払われるという意味ではありません。開示値は、その会社が長く働いた社員にどの程度の水準を用意しているかの目安として読み、実際の提示額は求人票のレンジと内定時の条件通知で確認する、という二段構えが安全です。
年収の額面だけでは比べられない
提示された額面が上がっても、手元に残る額や働き方まで含めると評価が変わることがあります。額面から税や社会保険料が差し引かれるため、増えた分がそのまま手取りに反映されるわけではありません。前提を置いた概算では、年収400万円(賞与なし)の手取り年額は約317万円、年収500万円(賞与なし)では約391万円になります。いずれも独身・扶養なし・東京都という条件での概算で、実際は扶養や住宅の状況によって変わります。
比較の難しさは、額面の内訳にもあります。求人票の想定年収に賞与が含まれているのか、含まれるとして支給実績はどうか。固定残業代が組み込まれている場合、その時間数を超えたときに追加で支払われるのか。基本給が同じでも、この内訳の違いで実際に働いた時間あたりの水準は変わります。昇給の仕組みも同様で、評価制度が年単位で運用されているのか、資格取得や等級で動くのかによって、入社後の伸び方は違ってきます。
働き方の条件も年収と切り離せません。年間休日の記載がある求人のうち、年間休日120日以上の求人は75.3%でした。休日の多寡は額面には表れませんが、同じ年収でも働く日数が違えば、実質的な条件は同じではありません。額面・手取り・時間・休日をセットで並べると、比較の解像度が上がります。
求人票で確認しておきたいこと
- 想定年収の下限がいまの年収を上回っているか。下限は「最低でもこの水準」を示すため、ここを下回る求人では提示額が下がる余地があります
- 想定年収に賞与が含まれるか、含まれる場合の支給実績はどうか。含む前提のレンジは、業績によって実額が動きます
- 固定残業代の有無と、それが何時間分に相当するか。超過分が別途支払われる記載があるかも合わせて確認します
- 昇給・評価の仕組みが記載されているか。入口の額が低めでも、伸び方が明示されていれば数年先の見通しが立ちます
- 年間休日と所定労働時間。同じ年収でも働く日数・時間が違えば、実質の条件は変わります
- 職種未経験OKの場合、教育期間中の処遇が本採用後と同じか。試用期間中の条件が別に定められていることがあります
- 勤務地と転勤の可能性。地域によって想定年収下限の中央値が異なるため、異動後の条件がどうなるかも確認しておきます
よくある質問
20代の転職では、年収は必ず上がりますか
必ず上がるとは言えません。当社取扱いの募集中求人の集計では、想定年収下限の中央値は400万円ですが、下限の分布には幅があり、いまの年収より低い帯の求人も相応にあります。上がるかどうかは、応募する求人群のレンジがいまの水準に対してどこにあるかで大きく変わります。
未経験の職種に移ると、年収は下がりますか
下がることがあります。職種未経験OK求人の想定年収下限の中央値は350万円、上限の中央値は502万円で、全体(下限400万円・上限600万円)より低い位置にあります。ただし移った先の職種のレンジ上限が高い場合、経験を積んだあとの到達点は変わるため、入口の額だけで判断しない見方も必要です。
平均年収の高い上場企業に入れば年収は上がりますか
有価証券報告書の平均年間給与は全社員の平均で、勤続年数の長い社員を含みます。集計では中央値が690万円、600万円以上の企業が72.0%を占めますが、これは20代の中途入社時に提示される額とは水準が異なります。実際の提示額は求人票のレンジと条件通知書で確認するのが確実です。
東京の求人を選べば年収は上がりますか
集計では東京の求人が5,900件で想定年収下限の中央値は420万円、大阪は860件で400万円、愛知は815件で400万円でした。額面では差が出ますが、家賃などの生活コストも異なるため、手元に残る余裕まで含めて比べると評価は変わることがあります。
額面が上がれば手取りも同じだけ増えますか
同じだけは増えません。税や社会保険料が差し引かれるためで、概算では年収400万円(賞与なし)の手取り年額が約317万円、年収500万円(賞与なし)では約391万円です。増額分の一部は控除されると考えて、生活設計を立てておくと安心です。
第二新卒視点でのポイント
最初にやることは、いまの年収を額面で正確に把握し、想定年収下限の分布表のどの帯に自分がいるかを確かめることです。当社取扱いの募集中求人(集計時点は2026/09/01)では、下限400万円以上が56.0%、下限500万円以上が25.8%という分布でした。自分の現在地より上の帯にどれだけ求人があるかがわかれば、狙う水準が現実的かどうかを判断できます。
次に、応募候補を「いまより下限が高い求人」と「入口は下がるが上限が高い求人」に分けて並べてみてください。職種未経験OKは42.8%あり、選択肢としては広い一方、下限の中央値は350万円と全体より低い位置にあります。短期の収入を優先するのか、数年先の到達点を優先するのかを自分のなかで決めておくと、面接での志望動機も条件交渉の軸もぶれにくくなります。
最後に、内定が出たら額面だけで即断せず、賞与の扱い・固定残業代の時間数・昇給の仕組み・年間休日をひとつずつ書き出して比べることをおすすめします。年間休日120日以上の求人は75.3%ありますが、記載がない求人もあるため、面談の場で聞いておくと入社後のギャップを減らせます。数字を並べて比べる作業を一度やっておくと、迷ったときに立ち返る基準ができます。
自分の場合はどうなるか、データを見ながら相談したい方へ
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