未経験ITエンジニアの年収を求人データで見る
未経験からITエンジニアを目指す場合、入口の想定年収はITエンジニア求人全体の水準より低い側から始まります。当社取扱いの募集中求人を集計すると、ITエンジニアの想定年収下限の中央値と、職種未経験OK求人に限った下限の中央値には差があり、未経験OK求人の割合も全職種平均を下回っています。この記事では、件数・想定年収の分布・年間休日・地域別の状況を集計データで確認し、求人票で見るべき点を整理します。
未経験からITエンジニアを目指すとき、最初の想定年収はどのくらいか
結論から書くと、当社取扱いの募集中求人の集計では、ITエンジニア求人全体の想定年収下限の中央値は402万円ですが、職種未経験OKに絞ると下限の中央値は322万円まで下がります。同じ職種でも、経験者を想定した募集と未経験を想定した募集では、提示される入口の水準が別の層に分かれているということです。集計時点は2026/09/14で、以下の数値はこの時点の募集中求人にもとづきます。
もうひとつ押さえておきたいのは、ITエンジニアは未経験OK求人の「割合」が全職種平均より低いことです。全職種では職種未経験OKの求人が42.9%を占めますが、ITエンジニアでは14.5%にとどまります。入口の年収水準だけでなく、そもそも応募できる求人の母数が限られる職種だと理解しておくと、応募の進め方を組み立てやすくなります。
職種グループで比べると、ITエンジニアの位置づけがわかる
次の表は、当社取扱いの募集中求人を全体と職種グループごとに並べ、件数、想定年収の下限・上限の中央値、職種未経験OKの割合、年間休日120日以上の割合を比べたものです。営業職や施工管理、事務管理部門などと横に並べて見ることで、ITエンジニアの条件がどの方向に寄っているかが読み取れます。
| 職種 | 求人件数 | 想定年収下限の中央値 | 想定年収上限の中央値 | 未経験OKの割合 | 年間休日120日以上の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全体(全職種) | 12,578件 | 400万円 | 600万円 | 42.9% | 75.0% |
| 営業職 | 2,695件 | 400万円 | 600万円 | 54.7% | 75.2% |
| 施工管理 | 1,400件 | 400万円 | 700万円 | 39.1% | 64.7% |
| ITエンジニア | 1,712件 | 402万円 | 700万円 | 14.5% | 96.5% |
| 事務・管理部門 | 573件 | 400万円 | 550万円 | 45.4% | 79.4% |
| 販売・サービス | 1,119件 | 343万円 | 480万円 | 72.9% | 26.1% |
| 製造・技術 | 1,195件 | 378万円 | 540万円 | 44.8% | 68.3% |
当社取扱いの募集中求人の集計。各職種グループは職種分類を列挙して固定した範囲で、年間休日の割合は記載のある求人が母数です。
表を見るときは、想定年収の下限と未経験OKの割合を合わせて確認します。下限の中央値が高い職種グループでも、それが経験者向け求人によって押し上げられている場合、未経験から応募できる求人の水準とは一致しません。ITエンジニアは求人件数が1,712件、想定年収上限の中央値が700万円と、全職種の上限中央値600万円より高い位置にありますが、未経験OKの割合は低い側にあります。上限側のレンジは広い一方で入口は限られる、という読み方が実態に近いと言えます。
未経験OK求人の年収は、全職種平均より低い側から始まる
職種未経験OKの求人だけを取り出すと、全職種では想定年収下限の中央値が350万円、ITエンジニアでは322万円です。上限の中央値はITエンジニアの未経験OK求人で450万円となり、経験者を含めたITエンジニア全体の上限中央値700万円とは差があります。
この差は、未経験募集が研修期間や配属前提を含む条件設計になっていることが多いためと考えられます。入口の提示額が控えめでも、上限側のレンジが広い求人であれば、経験を積んだ後に社内で担当領域を移す余地が示されている場合もあります。逆に、上限も入口と近い水準にとどまる求人では、昇給の道筋が求人票の外にあることになるので、面接で確認する材料になります。
想定年収の下限の分布 — 入口の金額帯はどこに集まるか
ITエンジニア求人のうち、想定年収の下限が400万円以上のものは1,118件で、割合は65.3%です。500万円以上になると580件、33.9%となります。一方、下限が300万円未満の求人は4.7%にとどまります。ITエンジニア求人の下限は比較的まとまった金額帯に集まっており、極端に低い入口の求人が多数を占めるわけではありません。
次の表は、当社取扱いの募集中求人(全国・全職種、想定年収下限の記載があるもの)を、下限の金額帯ごとに分けた件数と割合です。全職種の分布を見ることで、自分が見ている求人の下限が全体のどのあたりに位置するのか、目安をつけられます。
| 想定年収の下限 | 求人件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 300万円未満 | 815件 | 6.5% |
| 300〜349万円 | 2,270件 | 18.0% |
| 350〜399万円 | 2,477件 | 19.7% |
| 400〜449万円 | 2,468件 | 19.6% |
| 450〜499万円 | 1,286件 | 10.2% |
| 500〜599万円 | 1,672件 | 13.3% |
| 600万円以上 | 1,590件 | 12.6% |
当社取扱いの募集中求人のうち想定年収下限の記載がある12,578件が母数。想定年収は経験・スキルに応じた幅の下端であり、必ずその額が提示されるという意味ではありません。
表の読み方としては、応募を検討している求人の想定年収下限がどの帯に入るかを確認し、その帯にどれだけの求人の厚みがあるかを見ます。ただし、ここに出てくるのは全職種の分布です。ITエンジニアの未経験OK求人は下限中央値が322万円なので、全職種の分布の中では下限側の帯に位置することになります。分布の中心と自分の応募先を混同しないよう注意してください。
年間休日は、記載のある求人の多くが120日以上
ITエンジニア求人のうち年間休日の記載があるものでは、年間休日の中央値は124日で、120日以上の割合は96.5%です。125日以上の求人も46.3%あります。全職種では中央値が120日、120日以上の割合は75.0%なので、ITエンジニアは休日日数の記載において上側に寄っている職種グループだと言えます。
ただしこれは「年間休日の記載がある求人」を母数にした集計であり、記載のない求人の実態は含みません。また年間休日の日数は、実際の残業時間や繁忙期の負荷までは表しません。休日日数と、月あたりの平均残業時間や固定残業代の設定は、分けて確認する必要があります。
地域別 — 件数は東京に集中し、下限の中央値の差は小さい
ITエンジニア求人を地域別に見ると、東京は1,141件で、想定年収下限の中央値は420万円です。大阪は104件で下限中央値406万円、愛知は105件で下限中央値400万円となっています。件数では東京に大きく偏る一方、下限の中央値そのものの開きは、件数の差ほど大きくはありません。
次の表は、当社取扱いの募集中求人を都道府県別に集計し、件数の多い地域について件数・全体に占める割合・想定年収下限の中央値・職種未経験OK求人の割合を並べたものです。全職種ベースの集計なので、地域ごとの求人市場の厚みと、未経験から入れる余地の広さを合わせて見るのに向いています。
| 都道府県 | 求人件数 | 全体に占める割合 | 想定年収下限の中央値 | 未経験OKの割合 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 5,996件 | 47.7% | 420万円 | 36.8% |
| 大阪府 | 847件 | 6.7% | 400万円 | 43.6% |
| 愛知県 | 829件 | 6.6% | 400万円 | 47.2% |
| 神奈川県 | 541件 | 4.3% | 397万円 | 39.9% |
| 北海道 | 459件 | 3.6% | 384万円 | 51.0% |
| 埼玉県 | 300件 | 2.4% | 397万円 | 49.0% |
| 福岡県 | 294件 | 2.3% | 350万円 | 43.2% |
| 静岡県 | 266件 | 2.1% | 360万円 | 47.4% |
当社取扱いの募集中求人12,578件のうち、件数の多い上位8地域。割合は全求人に占める割合、中央値は各地域の想定年収下限の記載がある求人で計算しています。
表を見るときは、件数と未経験OKの割合を同時に確認します。件数が多い地域は選べる求人が多い反面、応募が集まりやすい面もあります。地方で働きたい場合は、まず希望地域にITエンジニア求人の母数があるかを確かめ、薄い場合は勤務地の考え方(リモートの可否、配属先の所在地)まで含めて条件を検討する流れになります。
この数字から言えること、言えないこと
ここまでの数値は、当社が取り扱っている募集中求人の集計です。IT業界全体の相場そのものではなく、当社の取扱い範囲に映った実勢という位置づけになります。求人の想定年収は募集時の提示レンジであり、実際の内定時の額は選考結果によって決まります。
また、上場企業が有価証券報告書で開示している平均年間給与の中央値は691万円ですが、これは各社の最新期における全社員の平均です。勤続年数の長い社員や管理職を含むため、20代・第二新卒の中途入社時に提示される額とは水準が異なります。開示値が高い企業でも、未経験入社時の提示が同じ水準になるわけではない点は、切り離して考える必要があります。
想定年収の下限は保証された金額ではなく、上限は到達が約束された金額でもありません。レンジの幅は「社内にどれだけの段差があるか」を示す手がかりとして読むほうが実態に合います。
求人票で確認しておきたいこと
- 固定残業代(みなし残業)の有無と、その時間数・金額が想定年収に含まれているか。含まれている場合、基本給部分は想定年収の印象より小さくなります
- 想定年収の上限が、どの等級・どの役割を想定した金額か。未経験入社の等級から上限までの道筋が説明されるかを確認します
- 評価と昇給の頻度・基準。評価がどの周期で行われ、何を材料に判断されるかが示されていると、入社後の見通しが立てやすくなります
- 配属先と業務内容の決まり方。受託開発や客先常駐が含まれる場合、配属によって身につく技術や勤務地が変わります
- 研修期間の長さと、その期間の給与の扱い。研修中の給与が本配属後と異なる設計になっていないかを見ておきます
- 年間休日の日数だけでなく、月あたりの平均残業時間、休日出勤や当番対応の有無
- 「未経験OK」の中身(学習歴、資格、前職の経験のどれを見るのか)。同じ表記でも求められる下地は求人ごとに異なります
よくある質問
未経験でITエンジニアに応募できる求人は限られますか
当社取扱いの募集中求人の集計では、ITエンジニアの職種未経験OKの割合は14.5%で、全職種の42.9%より低い水準です。母数が限られるため、ITエンジニアだけに絞るのではなく、近接する職種も並行して見ておくと選択肢を確保しやすくなります。
未経験入社の想定年収はどのくらいを見ておけばよいですか
ITエンジニアの職種未経験OK求人では、想定年収下限の中央値が322万円、上限の中央値が450万円です。実際の提示は選考結果によって決まるため、このレンジは目安として捉え、固定残業代の有無を合わせて確認しておくと実質の比較がしやすくなります。
経験を積めば年収は上がるのでしょうか
ITエンジニア求人全体の想定年収上限の中央値は700万円で、全職種の600万円より高い位置にあります。上限側のレンジが広いことは伸びしろを示す手がかりになりますが、個人の到達を保証するものではありません。昇給の基準が求人票や面接で具体的に説明されるかが、判断の材料になります。
休日の条件はほかの職種より良いと言えますか
年間休日の記載がある求人での集計では、ITエンジニアは年間休日の中央値が124日、120日以上の割合が96.5%で、全職種の中央値120日・割合75.0%より上側に寄っています。ただし記載のある求人だけを母数にした数値であり、残業時間や当番対応の負荷は別に確認しておく必要があります。
第二新卒視点でのポイント
未経験からITエンジニアを目指す場合、確認する順番を決めておくと動きやすくなります。まず、希望地域にITエンジニアの未経験OK求人の母数があるかを確かめます。ITエンジニアの未経験OK割合は14.5%と限られるため、母数が薄い地域では、勤務地の条件を広げるか、隣接する職種も並行して検討する判断が早めに必要になります。
次に、提示される想定年収を額面のレンジではなく構成で見ます。未経験OK求人の下限中央値は322万円ですが、この中に固定残業代が含まれているかどうかで、同じ金額でも働き方は変わります。求人票に固定残業代の時間数と金額が書かれているかを確認し、書かれていなければ面接で聞いておくと、入社後のギャップを減らせます。
最後に、上限側の金額に近づくための道筋を確認します。ITエンジニア全体の上限中央値は700万円ですが、未経験OK求人では450万円です。この差は、経験を積んだ後にどの領域・どの等級へ移れるかにかかっています。配属の決まり方、評価の周期、社内で扱う技術領域の広さを面接で聞いておくと、入口の年収だけでは見えない将来の見通しが立てやすくなります。
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